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多層フィルムの成形安定性と伸張粘度

Q.多層フィルムやシート特有の界面不良。最も効果的な対策とは?


多層成形品の境界面のムラやヨレ、曇りは解決が非常に難しい問題であり、実験回数も膨大な数に上ります。ここでは3層のフィードブロック式の共押出の解析例を紹介します。
このフィルム成形では材料の製造ロットが変わった後、中間層の材料に起因してフィルムが変形するトラブルが発生しました。

■使用モジュール:2D FEMモジュール
■目的:悪いのは材料か?金型か?多層成形特有のムラやヨレの原因と対策。
■コスト:試作金型と成形テストの大幅削減。多層ムラの論理的解釈。


アプローチ


このダイの場合は上下層の材料の流量・流路の関係で中間層の延伸率が非常に大きくトラブルの原因になっていました。
以前の生産ロットの材料では伸長粘度が低かったために問題はありませんでしたが、次のロットの材料は伸長粘度が高く、急激な延伸に対して不寛容であったと考えられます。
解決には中間層の流路を改善して、中間層の材料に急激な延伸がかからないようにし、材料のロットごとの伸長粘度の増減に鈍感にしました。
 

<中間層に異常が発生したフィルムと正常品の比較>
多層フィルムの成形安定性
<フィードブロックの解析と改善例>

〈図5〉は、あるフィルム成形品での「ゲルの通り」がわかるサンプルです。
これはあらゆる流動場において、共通の問題です。これを解決するには無駄に広い流動場を設けないことです。これをシミュレーション的には適切なせん断応力が壁面にかかる流動場と表現します。
押出機のスクリューのフライト、壁面との隙間、ブレーカープレート、マニフォールド、Tダイ、スパイラルダイの溝の深さとギャップなどすべての流動場で重要です。せん断応力はレオロジー的な計算でしか求められないため、単に流動場の寸法からでは判断できません。シミュレーションソフトによって計算する必要がでてきます。
実際の解析例の幾つかを紹介しましょう。
押出機では出口のブレーカープレートの形状及び、その先の絞り部の流路形状で劣化が発生します。下図は押出機出口の流路壁面に、適切な「せん断応力」がかからなかったために、材料が劣化したケースの解析結果「せん断応力分布図〈図6〉」「改善例〈図7〉」です。
グラフの赤線はシミュレーションソフトメーカーが最低せん断応力値としている数値で、その数値を下回った部分で確かにヤケが発生しています。
 

<ジグザグ不良と波状不良>

先に述べたフィードブロック共押出の場合、不良は波状でした。
共押出に関する論文では構成方程式に伸長粘度を取り込めるLeonovモデルを使用し、応力分布図などで共押出しの界面の不安定流動を解析した例も散見されます。
ジグザグ型不良の原因はまだ解明途中ですが、分子量分布の広い材料のほうが、狭い材料よりジグザグ不良の出現するせん断応力値が低く、オートクレーブ重合では他の重合法に比較して分子量分布が広い。境界面にはひとつのせん断応力値は存在せず、総合応力(トータルストレス)の解析が必要ということが判明しています。流動解析を通じて、研究の最先端の技術を取り込み、成形不良の改善に活かすことが可能です。
先に述べたフィードブロック共押出の場合、不良は波状でした。
共押出に関する論文では構成方程式に伸長粘度を取り込めるLeonovモデルを使用し、応力分布図などで共押出しの界面の不安定流動を解析した例も散見されます。
ジグザグ型不良の原因はまだ解明途中ですが、分子量分布の広い材料のほうが、狭い材料よりジグザグ不良の出現するせん断応力値が低く、オートクレーブ重合では他の重合法に比較して分子量分布が広い。境界面にはひとつのせん断応力値は存在せず、総合応力(トータルストレス)の解析が必要ということが判明しています。流動解析を通じて、研究の最先端の技術を取り込み、成形不良の改善に活かすことが可能です。

<トータルストレスによる界面の不安定挙動報告>